【#1】卯月軍団にオヌヌメの作品ネタバレなしで紹介しる【Life Is Strange】
はじめまして。
かねてよりやってみたかった卯月軍団 にじさんじ所属バーチャルyoutuber“卯月コウ”のオタクたち 向けの作品紹介。文字起こしの訓練も兼ねて軽くやってみたいと思います。
紹介する作品は基礎の基礎みたいなのからなんでそれ?ってのを色々理由こじつけてやってみたりするつもりです。ジャンルはゲーム・アニメ・映画・小説辺りで回してくと思います。
更新は不定期。するかも怪しい。
では、やっていきます。
今回紹介する作品は『Life Is Strange(以降LIS)』。フランスのゲームスタジオDONTNODが開発しスクウェア・エニックスよりグローバル版が2015年に、日本版が2016年に発売されたゲームで、対応機種はPlayStation 4、PlayStation 3、Microsoft Windows、Xbox One、Xbox 360、MacOS X、iOS、Android(※Wikipediaより抜粋)。めちゃくちゃ多い。
最初に。元々こっちに書くつもりでいた内容を先出ししてしまったので、こちらも合わせて読んでいただけると幸いです。読むの1分もかからないと思います。あと書きたいことは大体こっちに書いてある。
さて、LISはアメリカ・オレゴン州の架空の田舎街「アルカディア・ベイ」を舞台に、時間を巻き戻せる能力が発現した女子学生・マックスの青春を描くADV(アドベンチャーゲーム)です。
この時点でオタクくんは興奮してしまうでしょう。ですがLISにはこれに留まらず多大な量の『要素』が詰め込まれており、その全てが機能的に働いています。要するに客引きの為だけに採用された要素が無いのです。今から本作に詰め込まれた『要素』を思いつく限り書き連ねていきます
夕陽、一人一人に用意された行間を読ませる膨大な量の複雑な人生、ティーン特有の言動・悩み、リアルな学生たちの生活、大人たちの生活、人間関係、酒、タバコ、薬物、いじめ、自殺、性の悩み、写真、ライセンス含む優れた楽曲、アメリカの田舎を描画的かつ写実的に描くグラフィック、ミステリー、サスペンス、タイムリープ、セカイ系、百合
等々。正直ここに挙げただけの要素でも5つ、いや3つも≪オタク=センス≫に引っかかったのならやるべきです。
と、言うのも。実は最初に紹介する作品にLISを選んだのにはそれなりに理由があるのです(本来最初には別の作品を紹介するつもりだった)。この記事は卯月軍団に向けて書いてるので既知事実として書きますが、コウは2019/03/28現在本作をep.2まで配信にて実況プレイしています。
恐らくこの記事を読んでいる多くの方がコウの配信でLISを初めて見ると思います。断言しますが、それは、勿体ない。
詳しくは上記にある前記事に書いたのですが、LISはプレイヤーの『選択』がゲーム体験としてとても重要な役割を果たしており、その効果は自分でプレイして初めて真価を発揮するのです。
『選択』により織り成される物語、それはバーチャルyoutuber界における“薬袋カルテ”や“出雲霞”のような『劇場型配信』を例に出せば、当事者(ゲームにおけるプレイヤー)になることの意味や意義がよく分かるでしょう。
劇場型配信とゲームの違いは一つの物語を多人数で形成するか、1人で形成するかに尽きるでしょう。つまり、ADVには一人一人それぞれに違う選択・物語が存在するのです。
私はネタバレを極端に嫌います。何故ならネタバレは一人一人に平等に与えられた体験を殺すからです。
なので卯月軍団にはネタバレなくLISという唯一体験をしていただきたい。
……とはいえこう書いてしまうと「ep.2(ep.1)までコウの配信で見てしまったんだが?」と思われることでしょう。そういう方々には声を大にして言いたい。「まだ間に合う」と。
ep.2までは選択の重さを伝える、言うなれば壮大な前置きです。なのでまだ間に合います。あなたの物語を作ってください。
その上で、卯月コウが何を想い何を『選択』するのか、見届けましょう。
(※SteamやApp Storeにてep.1無料が無料で配布されています。)
【未プレイ向け】Life Is Strangeにおける『選択』【ネタバレなし】
『Life Is Strange(以降LIS)』。対応機種はPlayStation 4、PlayStation 3、Microsoft Windows、Xbox One、Xbox 360、MacOS X、iOS、Android。めちゃくちゃ多い。
本作はエピソード形式を採用しており、全体の構成も海外ドラマを意識して作られているので、映像作品を見ているような感覚で楽しめる。
が、LISは映像作品ではなくADV、つまりゲームである。プレイヤーは選択を強いられ、物語はその選択によって大きく左右する。
LISには特殊なシステムが存在する。『巻き戻し』。それは文字通りビデオのテープを巻き戻すように『時間』を巻き戻す能力であり、本作の主人公であるマックス(女)はこれを駆使して周囲に孕むあらゆる問題に挑む、というのが本作の概要だ。
これだけ読むと未来を自分の思い通りに出来るのなら選択に意味などない、と思うかもしれない。だが、LISにおける巻き戻しは一定の地点(時点?)までしか使えないのだ。こうなると事情が変わってくる。
人が何故後悔するのかと言えば、それは過去に可能性が存在するからだと言える。「もしあの時ああしてれば」、人なら誰もが思ったことがあるだろう。LISの巻き戻しはそれを強調させる。
LISはゲームだ。先に進まない限りゲーム内の時間 物語も進行しない。つまり、1つの選択に幾らでも悩める。幾らでも可能性を再考することができるのだ。しかし先に進めば、その選択は取り消せない。
私は気の向くままに生きているので一言に後悔と言っても思い当たらないのだが、もし、『巻き戻し』を持っていたら、それは後悔の連続だったと思う。
LISはそんな残酷な運命に巻き込まれた少女の奮闘劇でもある。プレイヤーの選択一つで彼女の周囲は大きく揺らぎ、そこには後悔が生まれるかもしれない。だが、そんな彼女や彼女の周囲を好転させられるのもプレイヤー そう、あなただけだ。
あなたの選択が少女と少女のセカイを変える。Life Is Strangeとはそういうゲームだ。
どうか、悔いの残らぬよう。苦しい選択も、未来のために
【考察】少女と世界、素晴らしき日々 #少女終末旅行
※注意
この記事には以下の作品のネタバレを含みます。
- 少女終末旅行(原作)
以下、上記の作品のネタバレを避けたい方には推奨できません。
………
私たちは何もかも失っていった…
車両も銃も…
本も日記も…
そして今光もなく…
足音は繰り返し中に消えていく…
これが生きることなんだろうか…
暗闇から来て暗闇の中へ還っていくみたいに…
ユーの手が…時々震える…
………
少し強めに握り返すと……
また握り返してくる…
大丈夫…大丈夫だよちーちゃん
わかってるよ……
私たちはもう…
ひとつの生き物になってしまった
初めからそうだったのかもしれない
だとすれば…
本当にそうだとすれば…
私の手…ユーの手…
肌に触れる冷たい空気…
その外側にある建物…都市…
その上に広がる空…
こうして触れ合っている世界のすべてが…
私たちそのものみたいだ……
少女終末旅行より
漠然として広がるだけの場所。爪痕だけをおきざりに、見放される事を余儀なくされた場所。そんなどうしようもない、やるせない場所を二人の少女は旅をした。
星空に感動し、戦争に疑問符を打ち、風呂に浸かり、日記を記し、汚れを落とし、人と出会い、大切を問われ、問うた人を励まし、写真を撮り、偶像の神を目の当たりにし、住まいに思いを馳せ、夢を見て、音楽を憶え、また人と出会い、イモを食らい、飛び立つ人の歴史を刻み、道に迷い、甘い幸せを味わい、死者の記憶を横切り、月光に酔いしれ、螺旋階段を登り、生命を考え、都市の機能を知り、共感を覚え、電車に乗り、波のリズムに悲しみ、謎の生命体を捕え、よくわからないものを見て、破壊を操り、過去の残り香にざわめき、その過去を知り、謎の生命体を見送り、水を確保し、怪我をし、芸術に触れ、衣服を纏い、大麻で幻覚と話し、爆発の浪漫を共有し、失敗作の神を殺し、過去を夢見て、温度を感じ、遠い宇宙を想い、言葉の宇宙に息を呑み、愛車の死に共感し、喪失と引き換えに生を手に入れ、世界を知り、二人の少女は旅をした。そんな旅路も、一片の光の中で終わりを遂げた。
光の中に希望はなかった。あるのは雪と黒い石と、それを覆う満天の星空だけ。
二人は最果てで水杯を挙げた。一人が肌身離さず身につけていたブロディヘルメットを外し、疑問を口にする。
…ねぇ
私たちこれで正しかったのかな
もう一人が疑問で返す。
正しかったって…?
一人は後悔の念を吐き出す。
もっと早く引き返した方がよかったんじゃないかとか
もっと別の場所に進んだ方がよかったんじゃないかとか…
そしたらもっと暖かくて食べ物もある場所に行けたんじゃないかとか…
そしたらもっと…
一人は後悔に溺れている。掘り返せば返すほど溢れ出す、際限のない「もっと、もっと」。楽しい思い出もあったはずだ。喜びも少なからずあったはずだ。それでも少女は後悔に溺れいている。怒りを孕む哀しみに記憶を蝕まれている。途方も無い思いをもう一人にぶつけ続ける。
強い哀しみは留まることを知らない。そんな時、人は有り得たかもしれない可能性に思いを馳せる。叶わない祈り。届かない聲。それらは私たちの住む日常の中で、ごく普通に訪れる。解決など叶わない。痛みだけの不幸。それらは人ならば誰しもが持ち合わせる負の感情。
少女はそれに憑りつかれていた。人生最大の不幸になすすべもなく。
……
もう一人が沈黙したまま駆け出す。すると、少女と距離を置き身を翻し、足下の雪を丸め少女の顔めがけて放り投げた。雪玉は少女の顔に命中する。もう一人は更に雪玉を構え、少女はそれを防ぎつつ止めるように呼びかけるが、防ぎきれずにまたも被弾。やがて少女も反撃を始め、雪合戦が始まった。
もう一人が沈黙を破り、問いに答えた。
わかんないよ!
どうするのがよかったのかも
どうしてこんな世界に二人っきりなのかも…
……何も分かんないけど …
生きるのは最高だったよね……
たった一言。それだけで、傍らにいつでも置いてあった幸ある日々の記憶を見つけられた。そうだ。生きるのは最高だ。輝ける幸福を求めて動き、とりとめないおしゃべりをどこまでも続け、何回も「知りたい」を知って、そんな日々が今日も明日も昨日も変わらずにそこにあった。
…でも、独りでは絶対に気が付けなかった。知り得なかった。存在すらしなかった。素晴らしき日々の記憶たち。それはどんな人にでも宿っている共通の幸福。しかし、人は絶望する時それに中々気がつけない。気がついてしまえば簡単な話だ。それこそ自明の理とさえ言ってしまえる。そして、その気づきを阻害してしまうのはいつだって孤独であり、個人で抱え込む限り、答えは遠のくばかりでやがては存在すら忘れてしまう。
…私不安だったんだ
こんなに世界は広いのに…何も知らずに自分が消えてしまうのが
…だけどあの暗い階段を登りながらユーの手を握ってたら
自分と世界が一つになったような気がして…
それで思った…見て触って感じられることが世界の全てなんだって
…よくわかんないよね…こんなこと言っても
わかるよ
私もずっとそれを言いたかった気がする
個人ですべてを抱え込むと、やがて個人は抱えきれなくなりその場所 世界を広げる。私の手…もう一人の手…肌に触れる空気…その外側にある建物…その上に広がる空……世界は人や空気、建物や空と融け込んで個人の持つ世界は広がる。世界は生の垣根を越えて究極の個人へと昇華した。
一方で、幸福は本質から遠のいていき孤独ばかりが増してゆく。少女たちはそれぞれでこの境地に、絶望と付き合うことで辿り着いていた。
そして孤独は共感の材料となり、それぞれが抱え込んでいた重荷は、この時を以って幸福へと姿を変えた。不幸とは得てしてそういうものである。視点を変えてみれば不幸でもなんでもない。寧ろ幸福とさえ思えることばかりだ。勿論これは幸福にも同じことが言える が、それでも。最後に「生きるのは最高だったよね…」と、そう言ってしまえるのならばそんなに幸福なことはない。
世界で一番幸せな少女と世界で一番不幸せな少女は、そんな幸福を抱いて眠りについた。最高の『生きる』を、それぞれの世界にのせて