人に見られるかもしれない壁打ち所

野生動物です。やさしくしましょう。

【#7】卯月軍団にオヌヌメの作品ネタバレなしで紹介しる【上田文人作品】

 不定期更新らしくなってきました。ゲームばかりになるのはもう諦めた。

 これは余談ですがデトロイトの記事も書きました。軍団向けに書いたものではありませんが、ザリガニ釣り的なサムシングを持ち合わせているので軍団も読んでくれると僕が嬉しい。

 

nrgoku.hatenablog.com

 

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 今回はちょっと変化球で3作まとめての紹介です。 各作品紹介の頭にキャッチコピーを付けています。決して僕が血迷ってポエムを詠んだとかではありません。

 

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 “この人の手を離さない。僕の魂ごと離してしまう気がするから。”

 

 『ICO』は、ソニー・コンピュータエンタテインメントによりPlayStation 2用ソフトとして開発され、2001年12月6日に発売された日本のアクションアドベンチャーゲーム。また、2011年9月22日にはPlayStation 3用のHDリマスター版が発売されています。(※Wikipedia参照)

 ICOは一言で言えば「孤島の古城に囚われた少年と少女が、そこから抜け出そうと古城を探索する謎解きゲーム」です。

 まず古城のロケーションが素晴らしい。操作性の悪化と引き換えに設計された各地の定点カメラはどれも目を見張る美しさ。廃墟探索ゲームとしてのポテンシャルも抜群に発揮しています。

 ICOの古城はガチガチの建築学がベースになっているのも魅力の一つと言えるでしょう。建てる気になればこの現実世界にもちゃんと作中通りに建築することが可能とのことです。すごい。

 次に“少年と少女”。そう、ICOはつまる所『少年と少女の逃避行モノ』です。主人公である少年イコは産まれながらにツノの生えたいわゆる奇形児。そんなイコが古城に生贄として捧げられるところから物語は始まります。

 そしてゲーム開始からそう経たずに出会うが檻に囚われし少女ヨルダ。白い! ヨルダは超白い! 発光してない?と思うほど白い肌に妖しげな模様の入った白いワンピースを着た少女!しかも!! 背が!!! イコより少し高い!!!!!

 こんなオタクの幻想みたいなヨルダはなんと言葉が通じません。というのも、イコとヨルダではどうも用いる言語そのものが違うよう。イコが陰キャすぎてコミュニケーションエラーが起きてるとかではないです。

 ヨルダは謎の“影”たちに日夜追われています。理由は不明。また、影たちを撃退する力もまたヨルダにしか備わっておらず、イコは影が出現する度にヨルダが力を発揮できる偶像まで“導く”ことになります。

 “導く”。ここがICOを象徴するポイントになっています。古城の仕掛けも、影との戦いも、1人では成し得ないのがICOというゲーム。

 ここまで書き損じていましたが、ヨルダは基本的に自分の意思では動きません。そこで、イコが手を引き、呼び寄せ、共に古城を探索していく。これがICOの謎解き要素であり、ICOという作品を象徴する要素にもなっています。

 ここまで書くとよりキャッチコピーの魅力が際立つかと思います。というかキャッチコピーが全てなので琴線に触れたなら是非プレイすることをお勧めします。因みにPS4でもPSNowというストリーミングサービスを利用することでPS3版が遊べるので是非。

 

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 “最後の一撃は、せつない。”

 

 『ワンダと巨像』は、 ソニー・コンピュータエンタテインメント(のちのソニー・インタラクティブエンタテインメント)より2005年10月27日に発売されたPlayStation 2用ゲームソフト。のちにPlayStation 3用のHDリマスター版が2011年9月22日に、PlayStation 4版が2018年2月8日に発売された。(※Wikipedia参照)

 卯月軍団的にはコウのまともなアクションゲーム実況として上田作品の中でも一番馴染みのある作品でしょう。配信を既に見た人には説明不要かと思います。

 主人公である少年ワンダは、絶命したと思われる少女の魂を取り戻すため古えの地へ赴く。そしてその地で響く天の声に従い16体の巨像を倒す……というのが本作の概要。 恐らくこの概要を読んだ時、未プレイと既プレイの間に一番大きな認識の齟齬が生まれるのは「16体の巨像」という点でしょう。未プレイなら「多くね?」、既プレイなら「少ないよね……」

 ここに本作の本質が隠れています。“最後の一撃は、せつない。”ワンダと巨像を知らない人でも知ってるであろう、元ネタは知らないけど使うインターネット用語くらいに思っている人も多いであろうこのキャッチコピーがまた全てを物語っています。

 と言うのも、私はワンダと巨像『ゲームを終わらせる寂しさを体現化したゲーム』だと思っています。進めば進むほど終わらせたくないと思うその気持ち、抵抗心を“有数の敵”だけが棲む大地の下で育み、一つ、また一つと儚げなな悲鳴と共に終わらせ終わりに向かう様は正しくゲームを終わらせる寂しさ。僕は本作のこの設計に心を打たれました。そして、この感覚は絶対にゲームを実際に遊ばなければ感じることができません。未プレイの方は是非その手で、コウは早く続きをプレイしてほしいです。

 また、ワンダと巨像はゲーム史的にも結構大きな作品です。現代のセオリーとしてすっかり定着したオープンワールドの先駆け、雑魚敵を一切配置せずボス(巨像)との戦いに焦点を絞る離れ業、圧倒的なビジュアル。その他にも、ワンダと巨像は後に生み出された作品たちに多大な影響と存在感を放ちました。

 この辺で軍団向けの言葉を使えば、ワンダと巨像“かつて文明が存在した禁忌の大地にて繰り広げられるセカイ系バトルモノ”となります。

 と言っても、僕の場合セカイ系部分はコウの配信で初めて気がつかされました。「かつて〜繰り広げられる」までは分かっていたのですが、プレイ当時用語を知らなかったのもありワンダと巨像セカイ系であるという認識には至りませんでした。でもたった1人の少女のために大禁忌を犯す少年ってそれセカイ系だよね。認識を改めてくれてありがとうコウ。ワンダはよやれ。

 

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“思い出の中のその怪物はいつも優しい目をしていた。”

 

 『人喰いの大鷲トリコ』は、ソニー・インタラクティブエンタテインメントより2016年12月6日に発売されたPlayStation 4用ゲームソフト。

 生き物ッ! 説明不要!!!!!

 はい。人喰いの大鷲トリコは世界一の生き物ゲーとして名を馳せています。

 架空の生物であるトリコは(以下Wikipediaより引用)主人公である少年と行動を共にする大鷲。折れた角と翼が特徴であり、この翼のせいで飛行することが出来ない。人語こそ話さないがある程度の知能は持っているらしく、自身の意に反することでない限りは概ね少年の言う事を聞く。また尻尾には不思議な力を有しており、少年が遺跡内で発見した「鏡」で照らした場所に雷撃を撃つこともできる。

 好物は谷のあちこちに落ちている光るタル。また、特定の香りに対して強い執着を見せる・目玉模様を忌避するといった特徴もある。

 このほかに、水中へ入ることを嫌がるものの水浴び・水遊びは好むという特徴もある。

 ね、もう可愛い。

 このゲームはジャンルとしてはICOと同じく協力型の探索謎解きなのですが兎に角行動を共にする大鷲トリコが可愛い。生き物。これはガチ。

 人喰いの大鷲トリコはあまりにも操作性が悪すぎる事でも有名です。が、どこもかしこもそれを補って尚余りあるほどトリコが“生き物”として素晴らしいことを評しています。普通に超大手メディアにも『ゲーム史上最も優れたNPCとか書いてあったり。

 しかし、これが本当に残念なのですが、トリコとはPS4専用ゲーム『人喰いの大鷲トリコ』でしか出会えません。これは人類にとって大きな停滞であり、PS4とかいうハードの希少価値底の底上げに努めています。トリコは人類にあまりにも知られていない。何故なら人々がトリコを知っていれば一家に、いや一人に一台PS4を持つ時代が来ているはずだからです。それほどまでに愛らしい。あれ程の“生き物”を私は知らない。何なら私なんかよりもずっと活き活きとし、その仕草で、その動作で、全身を使って“生”を体現している。そんなトリコをPS4なんて箱庭に閉じ込めるなんて・・・・・・・・・

 兎に角、動物が、『生き物』が好きな人間は無条件でトリコと出会うべきであり、その出会いには何人たりとも立ち塞がることは許されない。それがたとえ自身の理性であったり疑念であったりしても。

 ……という人喰いの大鷲トリコを卯月軍団に薦めるのは単純に卯月軍団に動物好きが多い印象があるからです。みんなさちときつ好きでしょ。なぁコウお前にも言ってるんだよ。

 トリコをお前の、いやお前たちの家族にしたくはないか? 『人喰いの大鷲トリコ』はそれを叶えるソフトウェアだ。良い選択を期待している。

 

 

 というところで今回は終わりです。最後に記憶を頼りに上田ゲーをプレイしていた・プレイした経験のあるライバーの紹介でも(普通に抜けありまくりので教えてもらえると僕が個人的に喜びます)(こっちにも反映する)

・神田笑一:初期の雑談でワンダと巨像を相当やり込んだ旨の話を聞いた覚えがある。

・渋谷ハジメ:自身のチャンネルで人喰いの大鷲トリコを配信している。

・リゼ・ヘルエスタ:雑談配信にて上田作品は一通りプレイ済みである旨の話をしていた。ICO宮部みゆきの小説版も読んでいる(小説が原作だと思い込んでいたらしい)

・卯月コウ:配信にてワンダと巨像をプレイ。頼むから最後までやり遂げてほしい。

【ネタバレなし】《転生式タイムトラベルソフトウェア》としてのデトロイト【Detroit: Become Human】

これは私たちの物語

そして あなたたちの未来

  クロエ(Detroit: Become Human)

 

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 『デトロイト ビカム ヒューマン(以下:『デトロイト』)』(Detroit: Become Human)は、フランスのゲーム会社クアンティック・ドリームのアクションアドベンチャーゲーム。2018年5月25日にソニー・インタラクティブエンタテインメント(SIE)より発売。当初はPlayStation 4専用ソフトだったが、2019年春にEpic Games Store上でPC版も配信予定。(※Wikipediaより抜粋)

 

 『デトロイト』はアンドロイドモノです。

 それも王道中の王道。概念レベルで使い古されてきたプロット。

 何故2018年に、本作をゲームとして繰り出したのか、結論から。

 

 それは『デトロイト』が《転生式タイムトラベルソフトウェア》だからです。

 

《転生》

 『デトロイト』では、《プレイヤー》が物語の主要を担う三体のアンドロイドを“操作”します。ですが、『デトロイト』で行われる“操作”は少し変わっています。

 

 スティックを倒して歩かせる。各ボタンに対応した選択肢が出る。ここまでは他のゲームと何ら変わりません。また、アクションシーンでボタンを押せるかどうかで物語の展開が左右するQTE。これも様々なゲームに採用されています。

 しかし、このQTEデトロイト』に採用されているのはそんなものではないのです。 物語の展開になんら関わりのない、ただそれでも入力しなければ先に進まない、そこまでする?とさえ思わせるQTEの数々。

 具体例を挙げれば「しゃがむ際に下スティック入力」「箱を取る際にスティックを(キャラクターから見て)手前側に倒す」「ドアノブを回すのにスティックを回転」etc.

 これらの入力は一度きり、なんて事もなく、さも当然のようにその都度要求されます。その体験は正に自分がこの手で画面上で行われている動作を行なっているよう。この細かすぎるQTEが、作品への没入感を他に類を見ないほど増幅させます。

 

 また、没入感の増幅にはグラフィック及びモーションも一役買っています。

 まず『デトロイト』のグラフィックの美しさは、ゲーム本編を一瞬でも目にすれば本能で理解できると思います。

 ですがこの作品、本当に凄いのはモーションであることを特筆しておきたい。現実の人間と何ら変わりない動きや表情の数々。それには思わず「アンドロイドがいたらこんな動き方・表情・話し方なんだろうな」なんて考えてしまいます。

 そう。この世に存在しないはずのアンドロイド。そんな非実在の存在を無意識レベルで感じさせる。それはまるで「そこで生きている」かのよう。

 

 ここで話を戻しましょう。『デトロイト』では、《プレイヤー》が物語の主要を担う三体のアンドロイドを“操作”します。

 これ、《プレイヤー》が各アンドロイドの命令系に成り代わっている、とは考えられないでしょうか。歩くのも、その先を左右する大事な選択も。ドアノブ1つ回すことすら《プレイヤー》による命令で実行されている。

 私は思いました。「これは一種の《転生》では?」と。 

 

《タイムトラベル》

 『デトロイト』では、「アンドロイド技術が根付いた2038年」アメリカ・デトロイトを舞台に物語が展開します。

 ここで着目すべきなのが、  つまり発売当時である2018年に  2038年を描いているという点。いつの時代にも近未来を描く作品は生まれています。しかし、そのほとんどはその時代、70年代なら70年代を、80年代なら80年代を基準に描かれており、時代を重ねるごとに古臭さも増してしまう。

 それもそのはず。現実の延長線、あり得るかもしれない可能性の未来はSFの本でもあります。SFの王道プロットが時代に沿った作りでリマインドされ続ける、悠久のコンテンツたるが所以が正にここにあります。

 『デトロイト』で描かれる2038年は、《プレイヤー》が生きる現代の延長にあることを強く感じさせます。空飛ぶ車や宇宙人の登場しない、地続きの世界。現代に寄り添った先端技術の数々には誰しもが「あり得る」と思うことでしょう。

 

 突然ですが、皆さんはアニメ映画『この世界の片隅に』を見たことがあるでしょうか。 無ければAmazonプライム・ビデオなどでも見られるので是非。

  『この世界の片隅に』は「まるでタイムトラベルのようだ」と各所で評判の作品でもあります。戦時中の描写に余念が一切なく、当時の『日常』が手に取るように分かる。それはまるでタイムトラベルして戦時中の日本を見ていたようだった……と。

 見たことがないとピンと来ないかもしれません。ですがこの批評はとても的確です。綿密な時代考証に基づいて描かれる戦時中の日常は、史実の裏側を感じさせこの映画の延長に自分たちの生活があることを確信させます。

 

 この世界の片隅にフィクションを織り交ぜ我々の過去を描き、史実で真実味を持たせていたのに対し、デトロイトではこれから先の未来に待つフィクションを現実に寄り添った「あり得る」可能性を、最新のグラフィック・モーションで構築している。そして、このプレイ体験は正に未来へのタイムトラベル》なのです。

 

《転生式タイムトラベルソフトウェア》

 ここで、今まで挙げてきた《転生》《タイムトラベル》を基に『デトロイト』について再考してみましょう。

 

 まず『デトロイト』は大前提としてゲーム、《ソフトウェア》です。そして『デトロイト』では《転生》《タイムトラベル》を用いた没入体験を提供している。ここから言えることは何か。

 

 そう。それこそが《転生式タイムトラベルソフトウェア》です。

 《プレイヤー》《タイムトラベル》で未来のアンドロイドへアクセス、つまり《転生》して命令系に成り代わる《ソフトウェア》これが『デトロイト』を形成する《転生式タイムトラベルソフトウェア》の正体です。

 

 『デトロイト』では、一周目は別の選択肢を見ずに通してプレイすることが推奨されています。これは《プレイヤー》にとって唯一無二の物語を提供するため、というのが表向きの理屈です。実際、『デトロイト』は膨大な分岐によりその試みを実現しています。

 しかし、《転生式タイムトラベルソフトウェア》を踏まえこうは考えられないでしょうか。「『デトロイト』とは、《プレイヤー》が《タイムトラベル》と《転生》によって訪れた未来に、無数の《プレイヤー》それぞれの多元宇宙を形成させる《ソフトウェア》であると。

 

 ここで冒頭の引用を思い出してほしい。

これは私たちの物語

そして あなたたちの未来

  クロエ(Detroit: Become Human)

 この台詞はメインメニューに現れるアンドロイドのクロエが、『デトロイト』本編を開始する際に言うものです。

 「私たち」とはアンドロイドと《プレイヤー》のこと。また、多元宇宙を「物語」と形容している様子から、デトロイト「あなたたち」  つまり我々人類  「未来」であることを暗示しているのが分かります。

 そして、この「未来」を左右するのが《プレイヤー》であり、それを可能にするのが《転生式タイムトラベルソフトウェア》であるデトロイトなのです。

 

最後に

 これだけ綿密な個人宇宙形成が『デトロイト』とPlayStation4という《タイムマシン》さえあれば可能です。まだ遊んでいない方も、あなただけの物語を作りましょう。

【#6】卯月軍団にオヌヌメの作品ネタバレなしで紹介しる【イリヤの空、UFOの夏】

まえがきに書くことが思いつかないので、全く関係ないのですが、最近見たNetflixのドキュメンタリー番組『ワイルド・ワイルド・カントリー』をオススメしておきます。

 

ワイルド・ワイルド・カントリーは、80年代に全世界を震撼させ今でも信者が生まれてるカルト教団ラジニーシの繁栄と衰退を、実録と当事者達の証言を基に当時何があったのか内外双方から描く作品です。

 

かなり丁寧に段階を踏んで実態を描いていくので、卯月コウを教祖視してる層にオススメです。実在したカルトが理想郷を作り上げ、世界中からホームレスをかき集めたりするさまは見ていて「これうづコウランドと卯月軍団じゃん……」とならざるを得ません。

 

それ以外にも重ねて見ると興味深い点が幾つも有ります。そちらはご自身の目で是非。 以上、ちゃんと書き上げられる気がしなかったのでここでの紹介となりました。

www.netflix.com

 

ではほんへ

 

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イリヤの空、UFOの夏(以下:イリヤ)』(イリヤのそら、ユーフォーのなつ)は、電撃文庫から2001年から2003年にかけて刊行された秋山瑞人ライトノベルです。挿絵は駒都えーじ。(※出典:Wikipedia

 

あらすじ。

浅羽直之は園原中学校の二年生。非公式のゲリラ新聞部に所属する彼は、部長である水前寺邦博と共に、夏休みの間中、山にこもってUFOを探す日々を送っていた。園原にはUFOの噂が絶えない有名な空軍基地があり、水前寺はその秘密を暴かんとしていたのだ。しかし夏休み全てを費やしても、結局何の成果も得られなかった。

かわって夏休み最後の夜、思い立って浅羽は学校のプールへと忍び込む。が、そこには伊里野加奈と名乗る、見慣れぬ少女がいた。状況が飲み込めないままに浅羽は伊里野へ泳ぎ方を教えるが、すぐに伊里野の兄貴と名乗る男が現れて、家へ帰るよう言った。

そして翌日の始業式の日、浅羽のクラスに伊里野が転校生として編入してきた。クラスから孤立してしまった伊里野と、そんな伊里野のことが気にかかる浅羽と、伊里野の周囲に垣間見える幾つもの奇妙な謎。そんな風にして、浅羽直之のUFOの夏は、その終焉に向けて静かに動き出した。 (※Wikipediaより引用)

 

 

主人公の浅羽直之は、情けないほど只の男子中学生です。早い話、境遇だけは一丁前な、物語の主人公には到底なり得ない一般人です。臆病で頭足らずで、どうしようもないほどの男子中学生。

そんな浅羽は伊里野との出会いで少しずつ変わっていく……のか。イリヤはそんなティーンのリアルな心情風景を夏景色で彩る作品です。

 

ですが、イリヤは「イリヤの空、UFOの夏」なんてタイトルを掲げておきながらメインとなる季節は夏ではありません。夏が舞台になるのはせいぜい第1巻最初のエピソード「第三種接近遭遇」くらいです(あらすじの始業式前まで)。

しかし、イリヤはコウが頻繁に名前を挙げる程夏の代名詞として名高い作品です。何故なのか。

 

それはイリヤ『夏の“残り香”』に縋る物語だから、と言えるでしょう。

すぐ近くにあったカノジョのキセツ、夏。その残り香は過ぎ行く時間の中で薄れていく。

イリヤはそんな残り香をボーイミーツガールで強調する作品でもあります。

 

 

イリヤには夏以上に象徴的な代名詞が存在します。

セカイ系です。

イリヤセカイ系の代名詞として未だに語り継がれています。もっと詰めれば、セカイ系というジャンルを確立させた作品とさえ言えるでしょう。

 

とはいえセカイ系の原点は言うまでもなく95年発の新世紀エヴァンゲリオンです。

が、イリヤはそんなエヴァからセカイ系の要素のみを抽出・再構成した作品であると私は考えます。

 

鬱陶しい夏の日差し、ひ弱な男子中学生、平然と続く日常、電波系ヒロイン、閉じたセカイ、終末感、etc。

 

後世にセカイ系の象徴として語り継がれた要素を、文章力の高い作家がエヴァから抽出・再構成して作られたのがイリヤの空、UFOの夏という作品である、と私は考えています。(企画段階の仮題が「UFO綾波」だった、なんて話もある)

 

 

今年も卯月コウの夏がやってきます。イリヤを読んで備えましょう……みたいなことを言ってコウの夏を先駆け締めるつもりだったのですが、これを書いている途中で先日の配信があり、そこで夏への展望やなんやを話されてしまい、考える事は似たり寄ったりなんだなぁなんて思いました。

www.youtube.com

今回は夏への展望を好き勝手にダベる感じが最初期感あってよかったです。 

 

 

恥ずかしながら僕はコウの配信を見てイリヤを読みました。

それも最初期、今となっては史実レベルのib実況です。(44:13~)

www.youtube.com

 

元々セカイ系自体は好物だったのですが、イリヤには手を出せておりませんでした。

そこでコウの配信を見て、配信が終了次第Kindleで全巻購入しました。

 

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当時のSS

 

コウのことはミラティブ配信以前から信頼していたので、生涯一のラノベと言われ即決。(↓は僕が卯月コウを心の底から信頼した瞬間)

 

結果、イリヤは僕にとっても特別な作品となりました。

マシュマロにも送りましたが、今一度この場をもってコウへ感謝の気持ちを述べておきます。

 

ありがとう。俺にイリヤを読むきっかけをくれて。

お前は俺の夏だ。今年も心待ちにしているぞ。

【#5】卯月軍団にオヌヌメの作品ネタバレなしで紹介しる【ブレイキング・バッド】

今回から本格的にコウと無関係な作品も「『卯月軍団』向け」として紹介していくので、その前に僕の卯月軍団解釈の一つを紹介させていただきます。

(※どうでもいいって人は飛ばしてok)

 

まず、広義における卯月軍団は、にじさんじ所属バーチャルライバー卯月コウの視聴者を指す、というものでしょう。

卯月軍団は厄介なのでここから更に枝分かれ又は意味の上書きをいとわないのですが、僕のは後者です。

というより、僕は『視聴者の総称』というより『視聴者層』として卯月軍団という言葉を使っている節があります。

 

ではその視聴者層とはどこなのか。

僕は大きな区分として『社会不適合者』若しくは『反○○的思想の持主(持っているだけ)』があり、付随する形でゼロ年代・百合・Vtuber・卯月コウのエモ等が好きな層がいると考えています。

これは配信やツイッター上で見かけた卯月軍団の印象と、僕の理想が混じった偏見です。本当はもっと幅広いし具体的な層もいます。

 

ですが、僕が(少なくとも)この場で使用する『卯月軍団』は僕の偏見の方です。まぁ一番デカい前提である「『社会不適合者』若しくは『反○○的思想の持主(持っているだけ)』」はほぼ無条件で適応しているので、そこさえ飲み込んでいただければあとは大乗だと思います。

 

次に。このシリーズを書いているのは、僕自身『卯月軍団』向きの作品を血眼で探していた過去があるからです。というか現在進行形で『卯月軍団』向きの作品は渇望しています。このシリーズはそんな悩める同志たちに、少しでも助けになればと思い書き始めたものです。

逆に「これいいよ」ってのがあれば是非教えてください。読書が大の苦手であるため、映像作品だと尚好ましいです。(読み物でも教えてほしい)

 

終わりに。上記のすべては僕の偏見ですし、卯月軍団自体には僕もここに収まらないだけの意味を感じています。 あくまで“この場”での意味として考えていただけると幸いです。

 

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ブレイキング・バッド(以下:BrBa)』(Breaking Bad)は、ヴィンス・ギリガンによって制作されたアメリカのテレビドラマシリーズです。このテレビドラマはソニー・ピクチャーズテレビによって製作され、ケーブルチャンネルAMCによって米国とカナダで2008年1月20日から2013年9月29日まで放送されました。(※Wikipediaより抜粋)

 

あらすじ。

アメリカ南西部の田舎町。ウォルター・ホワイトは、身重の妻スカイラーと脳性麻痺の長男フリンとの生活を支えるために高校で化学教師を勤めつつ、アルバイトで生活費を稼ぐ平凡なプア・ホワイトであった。学校ではやる気のない生徒たちと向き合う日々により無気力さに侵された生活を送っていたが、自身に肺がんが見つかったことから運命が狂い始める。麻薬取締局に勤めている義弟のハンクから、覚醒剤が儲かると聞いたウォルターは、死ぬ前に家族に財産を残すため、低所得者層向けの覚醒剤である「メタンフェタミン」(通称メス)の密造を決意する。(※Wikipediaより抜粋)

 

というのが全62エピソードある本作のエピソード1中盤までの概要です。BrBaはあらすじだけで面白いんだからすごい。

BrBaは各所で評価されており、その完成度から「ドラマ史上最高傑作」の呼び声も高い作品です(2ちゃんの海外ドラマオススメスレでもBrBaとGoT(ゲームオブスローンズ )は殿堂入りで除外対象にされがち)。

 

BrBaは進めば進むほど評判が良くなるすごいドラマです。物語は進行するほど面白くなり、最終シーズンはピークの絶頂にて完結。その最終シーズンはメタスコア99・ユーザースコア9.7という、ドラマ史上最高値を叩き出しています。

 

www.metacritic.com

 

「観たきっかけは、短い時間で、既に完結した海外版TVドラマだったから」

 

これは『ICO』や『ワンダの巨像』で知られるゲームデザイナー上田文人が『人喰いの大鷲トリコ』の初回特典ブックレットに収録された「上田文人をつくった、30のモノ。」にて述べたBrBaを観たきっかけの話です。

上田文人がどれだけ優れたクリエイターなのか、という話は置いといて、世界中を市場にするクリエイターですら指折りの一本として本作を挙げる。BrBaはそれほどの風格と実績を兼ね揃えた作品なのです。

 

著名人と言えば、他でもないバーチャルyoutuberである電脳少女シロが自身の動画で「海外ドラマのシロ的ランキング第1位として挙げていたり、コウと同じにじさんじ所属の葛葉が、個人勢時代から使っている雑談画面にあるモニターの壁紙にしてたりします。

 

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www.youtube.com

 

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【雑】何すっかな【Zatsu】より

 

海外ドラマは、オタクなら一度は通っておきたい道の一つです。 

でも中々見るきっかけがない。どれを見ればいいのか分からない。そう思い見るところまで来ていない人もまた多い。

ならBrBaを観ましょう。

BrBaはネットフリックスで全話配信されているので敷居も低い。

その上、前述の通り評判は折り紙付きです。

日常と非日常が表裏一体の、緊迫感の絶えない映像体験を、是非。

 

因みに僕の薬物知識の8割はBrBaです。

【#4】卯月軍団にオヌヌメの作品ネタバレなしで紹介しる(※前作ネタバレ有)【Life Is Strange Before the Storm】

 

※注意

 この記事には以下の作品のネタバレを含みます。

  • Life Is Strenge(無印

 以下、上記の作品のネタバレを避けたい方には推奨できません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

今回は、コウの配信でLISを完走した・遊んだ・過去に遊んでいる人向けです。注意を。

 

そういえば、コウが触れてない作品の紹介は今回が初めてになりますね。今後長く続けばそっちの方が多くなると思います。

 

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『ライフ イズ ストレンジ ビフォア ザ ストーム(以下:BtS)』(Life Is Strange: Before the Storm) はアメリカのゲーム会社Deck Nine Gamesが開発し、スクウェア・エニックスよりグローバル版が2017年8月から12月にかけ、日本版が2018年6月に発売されたアドベンチャーゲームです。(※Wikipediaより抜粋)

 

BtSの舞台は『Life is strange(以下:前作)』の3年前。場所は前作同様オレゴン州の架空の町アルカディア・ベイで、主人公は前作のメインヒロイン、クロエ・プライス。

 

BtSでは2年前(前作における5年前)に父親を亡くして以降、変わってしまった環境への戸惑いや、前作で行方不明となっていたレイチェル・アンバーとの出会いが描かれ、お馴染みのキャラやお馴染みの場所の3年前の姿も見ることができます。

 

そう。クロエ、レイチェル、町と、その住人。

前作で『終わっている』、或いは『終わらせる』もの。BtSはその終わりゆく日常の一端をプレイヤーが引いて行くゲームです。

 

BtSの時代では前作で廃れていたキャラ達のその前も見ることができます。彼らが如何にして堕ちたのか。

 

ここで前作のエピソード3ラストでクロエの父親ウィリアムを助けた世界へ行った時のことを思い出してほしい。あの世界ではクロエ以外のあらゆることが上手く行っていた。本作では、そんなクロエが周囲にどのような影響をもたらしていたのかも描かれます。

 

BtSと前作には大きな違いがあります。

本作にはLISの肝とも言える『巻き戻し』がありません。クロエが以前まで能力者だったとかそういうのもありません。

では代わりに何ができるのか?

 

レスバです。

 

一応『バックトーク』という正式名称があるのですが、レスバと考えてもらった方が早いでしょう。

バックトークシステムは反骨精神に富んでおり結構楽しいです。父親の事故以後、この世の全てを恨まんばかりのクロエだからこそ生まれた要素と言えるでしょう。BtSのレスバ力を見ると前作で何故あそこまで口論で粋がれたのかも分かるというものです。

 

それでもやらないことには「『巻き戻し』のないLISなんて…」と思われる方も少なからずいらっしゃるでしょう。

安心していただきたい……というより、ここがBtSの凄いところで。

本作では「『巻き戻し』がないこと」自体が大きな魅力となっているのです。

 

『巻き戻し』が無くなったからといって『セーブ&ロード』が出来るようになった、なんてことも無く、すべての選択がオンリーワンの代物と化します。

つまるところBtSは、一度きりの人生を、それも反骨精神真っ盛りの『世界を憎む少女』となって歩む体験を味わえる作品でもあるのです。

 

…そういえば、コウのLIS配信ではメニュー画面(日記・人物紹介等)をメール以外全く見ていませんでしたが、ご自身でプレイする際には是非とも逐一チェックすることをおススメします。

本作の日記は「クロエがマックスに『送ることのない手紙』として近況報告を連ねる」というものになっています。これがまた格別なので是非。

 

最後に。BtSは全3エピソードから成る物語なのですが、その他にもう一つボーナスエピソードというものが収録されています。こちらは是非本編を通してプレイし、もう満足した、という状態でお遊びください。

僕はLISをやっていて、本作のボーナスエピソードで一番泣きました。

そのあまりにも『粋』な一編を、ぜひお見逃しなく。

 

P.S.

 

【#3】卯月軍団にオヌヌメの作品ネタバレなしで紹介しる【リリイ・シュシュのすべて】

突然ですが、僕は男性視聴者は男性Vtuberをどうみてるの?【集まれ!コウボーイ】後のコウのツイートが大好きです。

 

 

僕はあの配信で発された言葉に不信感を抱いていたので、正直この補足が無ければコウのことを見る目が変わっていました。

と言うのも、僕はこういう作品が大好きであり、コウもまたこの手の作品を愛する一人であると考えていたためです。 そして、その考えに至るきっかけになったのが今回紹介する作品でもあります。

また、この手の作品は今後も扱って行きたいので、この場ではジャンル分けとして仮に『暗美系』と呼ぶことにしましょう(アンビエントみたいでかっこいい)

 

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リリイ・シュシュのすべて(以下:リリイシュシュ)』は、2001年に公開された岩井俊二監督の日本映画、またその原作および岩井俊二によるインターネットの掲示板を用いた誰でも書き込みができる実験的なインターネット小説であり、2004年に角川文庫から単行本が刊行されています。(※Wikipediaより抜粋)

 

今回紹介するのは映画版になります。理由は僕が原案であるインターネット小説と小説版を読んでいないのと、コウが話していたのが映画版だったためです。

 原案であるインターネット小説は成り立ち自体がかなり実験的で面白いため、興味のある方はWikipediaの「作品概要」にある「Y2Kプロジェクト - インターネット小説」を読んでみるとよいでしょう。ですが、すぐ次の項目の「映画化」には映画版本編のネタバレが多数含まれるため、「映画化」及び他項目(あらすじ等)は本編の視聴後に読むことを薦めます。

 

ではあらすじ。田園の広がる地方都市で暮らす中学生の蓮見雄一は、同級生の星野修介に万引きなどの犯罪行為を強要され、鬱屈とした日々を送っていた。唯一の救いはカリスマ的な人気を持つ女性歌手、リリイ・シュシュの曲を聞くこと。(※Wikipediaより抜粋)

 

このあらすじの通りリリイシュシュはとても暗い。ひたすら暗い。いじめ、恐喝、万引き、援助交際、レイプ、殺人、自殺、と、要素を上げ始めればキリがないほどの闇。しかし、そんな闇の中。音楽だけは救いを与えてくれる……というのが本作の概要。

 

これだけ暗い題材を扱う本作において、私の考える最大の魅力は『映像美』です。

リリイシュシュでは陰湿な社会の闇を映像作家としても名の知れる岩井俊二が監督・脚本・編集として、生活に寄り添った、眩しいほどの映像美で描いています。 どこまでも救いのないリアル、目を背けたくなるような現実がスクリーンに映し出され、観客はそれに釘付けにされます。

 

また、本作を彩る要素として劇伴の美しさは欠かせません。

本作のサウンドトラックは本当に美しい。が、美しい音色には映画本編の陰が常に身を潜めており、ふと想起させればひとたまりもなく憂鬱の波に飲み込まれます。

私は、劇伴の真価は作品との一体化によって初めて顔を表すものと思っています。

その点本作の劇伴は、劇伴としての素養を完璧に持ち合わせていると言えるでしょう。

 

そういえば、key作品でもあるTVアニメ『Charlotte』のこの画はリリィシュシュのオマージュと言われてたりします。

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上記にある画像と比べて見ると解り易い

 

…実を言うと、私はリリイシュシュを元々見ていたわけではなく、コウの配信で初めて知って見たクチです。

配信にて「映画を全然見ない」と言った直後に筆頭としてコウが挙げた作品であり、コウに「影響を受けているかもしれない」と言わしめた作品です。見ない手は無い。(前述の通りかなり人を選ぶ作品なのでそこだけは本当に注意を)

 

↓1:40:55からリリイシュシュの話題

www.youtube.com

【#2】卯月軍団にオヌヌメの作品ネタバレなしで紹介しる【素晴らしき日々 ~不連続存在~】

すみません。またゲームです。

元々こっちを先に出したかったのですが、コウのLISが思いの外ペースが速く、あちらを先に出すこととなりました。未読の方は是非。

前回↓

nrgoku.hatenablog.com

 

 

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今回紹介するタイトルは『素晴らしき日々 〜不連続存在〜(以下:すばひび)』。ケロQより2010年3月26日に発売されたアダルトゲームです。対応OSはWindows ME/2000/XP/Vista。また7月20日にフルボイスHD版が発売されており、この版では対応OSがWindows7/8/8.1/10に更新され、画像も1280×960となり、新規立ち絵・CG、そして全キャラフルボイス化。新規ルートも書き下ろしで収録されています(※Wikipediaより抜粋)

今から買うなら絶対フルボイスHD版をおススメします。古いOS使ってるとかでない限り旧版を買う利点は無い。

 

 あらすじも前回同様書きたい所なのですが、ネタバレ無しであらすじを書くことができない上、公式に用意されているあらすじ文が意味不明すぎるため引用も出来ません。なのでこの場でのあらすじも無いです。スマーン!

 

では、箇条書きになりますがまずは何故すばひびを卯月軍団に薦めるのか。

 

①コウの配信上ですばひびはトップクラスで話題に出るから。(直近だとエモくて百合と噂の「ライフ イズ ストレンジ / Life is Strange」を実況プレイ #2 の終盤で話題に挙げた「かつてやった作品」)

②すばひびを知っているだけで『卯月コウのエモ』やコウの内面への理解が数段弾む。

③コウは明らかに卯月軍団にすばひび好きが多いことを意識している(実際多い)。

④間違いなく卯月軍団に刺さって一生抜けない呪いと祝福の棘だから。

 

④でこう自信をもって言えるのも、私自身がすばひびに人生狂わされた内の一人だからです。前述した通り元々はこの作品を一番に紹介したかったくらいに。すばひびやってなきゃ陰キャになってない(断言)

 

次に、前回と同様の『要素』並べフェーズです。先に言っておきますが、すばひびの『要素』は特濃です……

 

都会、百合、電波、文学、セカイ系、時系列シャッフル、群像劇、クラシック、音楽、哲学、高校生(推定)、薬物、自殺、宗教、レイプ、ふたなり、露出、妄想、いじめ、ホモ、獣姦、ミステリー、トリック、数学、雑学、化学、オカルト、近親相姦、バトル、田舎、伏線回収、形而上学、etc

 

……このうち3つでも≪オタク=センス≫に反応する要素があればやってほしいのですが、一部ではトラウマゲーとしても名の知れた本作です。他にダメな要素がある場合は自己判断で避けるべきでしょう。ただ、やるならば絶対に最後までやるべきです。途中で切ると尚の事よくないので。

 

さて。すばひびは哲学者ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタインが自らの『草稿』にて記した「幸福に生きよ!」という言葉をベースに、シナリオライターであるすかぢ氏が自らのウィトゲンシュタイン哲学解釈と上記のような要素とを織り交ぜて書き上げた作品です。

…と言ってもよく分からないと思います。あえて1/2000くらいに要約するなら『生きる意味』を必死に探す物語、と言えるかもしれません。

この物語では上記に挙げた要素の数々は全て意味を持ちます。これだけ散らばった要素にただの一つも無駄が無いのです。

更に、要素の一つとして挙げたミステリー。尋常ではない量の伏線が次々と回収されてゆく様は圧巻の一言。(因みにコウは以前配信で2章段階でトリックに気がついてしまった旨の話をしていました。素直にすごい)

ただ注意点として挙げると、すばひびは序盤がかなりダルいです。周回すると発見だらけなのですが、当然初見には関係ありません。そこばかりは先の展開を信じて進めてもらうしかない…。

それと、すばひびは一部で「AVG(アダルトゲーム)でやれることをすべてやった作品」とも言われている位には濃密で、目をそむけたくなるようなシーンも多数有ります。そのような描写は4章に入れば落ち着くので、苦手な方はそこを目指して無理のない範囲で頑張りましょう。ただ、前述した通りすばひびは途中で切ると尚の事よくないので、最後までやりきることが大事です。

 

あと特筆すべきことが一つ。すばひびは音楽が本当に素晴らしい。他ならぬコウもすばひびの入り口は音楽であることを過去の配信にて話しています。(ここで該当の配信URLを貼ろうと思ったのですが4時間探しても見つからなかったので諦めます…もし知ってる人居たら教えてほしい…)

特に『夜の向日葵』。この曲が嫌いなオタクくんは居ません。コウが「めちゃくちゃ好きな美少女ゲーBGM」としてあの『夏影』と並べる程。(1:18:14~)

www.youtube.com

挙げた分だけでもコウすばひびの話しすぎですね。

 

すばひびを知っているだけでコウの事もなんだか知った気になれます。

こうやって彼の内面を理解し『後方理解者面野郎』に成り下がりましょう。

えらくまとまりのない文章になってしまいましたが以上です。今後もこんな感じで軽く読めるのを目指していきます。続くかは未定ですが…………

みんなもすばひびやって『シラノ・ド・ベルジュラック』に手を出すオタクに、なろう!

 

(公式サイトにてフルボイスHD版の演出強化パッチが配布されているので、プレイ前に導入することを奨めます)

www.keroq.co.jp